Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
せいしゅんのぎゃくせつ
青春の逆説
織田 作之助
Lesen Sie 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.593 Zeichen · 325 Bildschirme
いわば、彼女の固着観念になっているのであった。
しかし、この固着観念を人前ではっきり述べるのは、いまがはじめてだった。彼女はこんなところでそれを言いたくないと、思った。「世間の眼」へのはじめての抗議を、こんな喫茶店のなかでしたくなかった。ことに相手は、新聞記者という点を勘定にいれるにしても、ともかく子供すぎるほど若い男なのだ。
しかし、多鶴子は豹一がびっくりした表情で熱心にきいてくれているらしいのを見て、いくらか張りあいがあると思った。たしかに豹一は、多鶴子の言葉に心を惹かれていた。自分の「批判」が辛辣であっただけに、一層彼女の言葉を信ずる気持が強かった。(土門なんかの言葉があてになるもんか!)と思った。
多鶴子は人なかだという点を考慮して、声を低めねばならなかった。感情がたかまっているのに、声を低めねばならないということは、自分の悲しさを一層深めていると思い、思わず瞳がうるんでいた。それを見ると、豹一はますます心を動かされた。極端に走りやすい豹一は、いきなり起ち上った。
「そうですか。わかりました。しかし、尾行記は書いてしまったんです。間に合うかどうかわかりませんが、とにかく社へ電話して発表を見合せてもらうことにします」