Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せいしゅんのぎゃくせつ

青春の逆説

織田 作之助

Lesen Sie 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.593 Zeichen · 325 Bildschirme

Aozora Bunko

「レコード会社で使って下さるの?」

「うん。大体あらかじめの話はついているんだ。どうだ? これから会社の人に会おうじゃないか」

「ええ」

二人はかき船を出て、車を拾った。

そして、レコード会社の人に会いに行った――かどうかは、説明の限りではない。少くとも豹一にはどうでも良いことだった。もはや彼にとっては、たとえ多鶴子が矢野と会うたのは仕事や人気のためだとわかったところで、なんの気休めにもならないのだ。むしろ、そうだとはっきりわかれば多鶴子の肉体の悲しみにたえきれぬ想いがするところかも知れぬ。かえって、浮気心で矢野に会うていてくれる方が助かるのだった。

豹一は悲痛な顔をして、暫く自動車の行方を見送っていたが、やがて魂の抜けたような歩き方でとぼとぼと橋の方へ引きかえした。

橋を渡ってしまうと、あたりはぱっと明るかった。その明りで豹一は財布のなかを調べた。そして、行き当りばったりのスタンドバーでカクテルを飲んだ。

急に酔がまわって来て、足が頭が体全体がふらついた。

御堂筋で車を拾った。がっくりと首をたれながら、

「新世界ラジウム温泉横!」

その言葉と同時に、シイトの上に打っ倒れて、反吐を吐いてしまった。