Japanische Klassiker mit Furigana
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せいしゅんのぎゃくせつ
青春の逆説
織田 作之助
Lesen Sie 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.593 Zeichen · 325 Bildschirme
しかし、豹一は「好きです」と言ったために、もう紀代子に会うのが癪だと思っていた。翌日は日曜だったので、もっけの倖いだと思った。紀代子を獲得するまで毎日紀代子に会うべしと、自分に言い聴かせていたのだった。豹一は千日前へ遊びに行った。楽天地の地下室で、八十二歳の高齢で死んだという讃岐国某尼寺のミイラが陳列されていた。「女性の特徴たる乳房その他の痕跡歴然たり。教育の参考資料」という宣伝に惹きつけられて、こそこそ入場料を払ってはいった。ひそかに抱いていた性的なものへの嫌悪に逆に作用された捨鉢な好奇心からだった。
自虐めいたいやな気持で出て来た途端、思い掛けなくぱったり紀代子に出くわした。(変な好奇心からミイラを見て来たのを見抜かれたに違いない)豹一はみるみる赧くなった。近眼の紀代子は豹一らしい姿に気がつくと確めようとして、眼を細め、眉の附根を引き寄せていた。それが眉をひそめていると、豹一には思われた。胃腸の悪い紀代子はかねがね下唇をなめる癖があり、此の時も、おや花火を揚げている、と思ってなめていた。そんな表情を見ると、もう豹一は我慢が出来なかった。いきなり、逃げ出した。