Japanische Klassiker mit Furigana
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せいしゅんのぎゃくせつ
青春の逆説
織田 作之助
Lesen Sie 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.593 Zeichen · 325 Bildschirme
文学趣味のある紀代子は、歯の浮くような言葉ばかり使った。豹一が意味を了解しかねるような言葉や、季節外れの花の名も紀代子の口から飛び出した。もし豹一が紀代子の使う言葉の意味が分らない自分を恥しく思い、俺は何と無学だろうと自分に腹を立てているのでなければ、もう少しで欠伸が出るところだった。
(中学生の俺よりも女学生の紀代子の方がむずかしいことを知っているのは、中学校の教育が悪いからだ)
紀代子がもし聴いたらうんざりするような、そんな無味乾燥なことを考えながら、豹一は退屈をこらえていた。
紀代子の「気の利いた」文学趣味のある言葉は、しかしそう永くは続かなかった。知っている限りの言葉を言い尽してしまったからである。
道が急に明るくなって、いつか公園を抜けて、ラジウム温泉の傍へ来ていた。
毒々しい色の電燈がごたごたとついている新世界の外れだった。
「俗悪やわ。引き返しましょう」
そして彼女自身もひどく散文的な気持になってしまって、紀代子は豹一の友達が彼女に下手な文章の恋文を送った話などをした。すると、急に豹一の眼は輝いた。
「誰とどいつが送ったんや?」と訊いて、その名前を確めると、もう豹一は退屈しなかった。