Japanische Klassiker mit Furigana
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せいしゅんのぎゃくせつ
青春の逆説
織田 作之助
Lesen Sie 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.593 Zeichen · 325 Bildschirme
それなら如何にも中学生らしいのである。ところが、落してみると、にわかにあのお君の息子となってしまった。紀代子ははッと豹一の顔を見たが、彼を愛していたから、直ぐ膝まずいて、一つ一つ拾ってくれた。そのため豹一は一層恥しい想いをしたのだった。母親がその一枚をこしらえるのにもどれだけ苦労したか分らぬその金を、のんきに女と二人で行った回転焼屋で落した。というだけでも辛かったのに、紀代子にそんな風にされると、もう彼は死ぬ程辛かった。
だから、そのことはなるべく想い出さぬようにしていた。想い出すたびに、ぎゃあーと腹の底から唸り声が出て来るのだ。しかし、紀代子が自分から去ったかと考えると、否応なしにそこへ突き当らざるを得ない。
(あのために俺は嫌われたのだ)
しかし、序でに言えば、紀代子はその時真赧になって半泣きの表情を泛べていた豹一の顔ほど、可愛いと思ったことはなかった。従兄と結婚してからも、この時の豹一の顔だけは想い出した位である。
つまり、紀代子は卒業の、即ち結婚の日が迫って来たのだった。正式の結納品が部屋に飾られたのを見た途端、紀代子はまるであっさりと心が変ってしまった。