Japanische Klassiker mit Furigana
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くいどうらく
食道楽
村井 弦斎
Lesen Sie 食道楽 (くいどうらく) von 村井 弦斎 (むらいげんさい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.757 Zeichen · 321 Bildschirme
あの中川さんのお妹子さんが去年の暮にお国から出ておいでなすったそうです。貴客はまだ御存知ありませんか」客「イエ一向知りません。中川君も大学以来の朋友で国に妹があるという事は聞いていましたが今度東京へ呼んだのでしょうか」妻君「ハイそうだと見えます。暮に良人が中川さんへ参ったら中川さんがお引合せなすったそうです。お国は長崎で料理の事は大層進んでいる処ですのにそのお妹子さんは神戸や大阪にお在でよほど料理がお上手だそうです。良人はその時お妹子さんのお拵えになった豚料理を御馳走になりまして非常に美味しかったと帰って来て申しました。私にも是非そのお料理を覚えるようにと命令られましたから暇の時教わりに参るつもりです」と聞くより客は膝進ませ「それは耳よりです。僕の志願は料理の出来る女房を持って美味いものを食べたいというのです、外の慾はありません。僕の楽みは、ただ食べる事ばかり。人間は三度の食事を美味しく食べるほど幸福な事はありますまい。衣食住といいますけれども衣服は木綿でも済みますし家も大概で我慢が出来ます。三度の食事は一番身に直接ですからこればかりは力を尽さなければなりません。