Japanische Klassiker mit Furigana
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くいどうらく
食道楽
村井 弦斎
Lesen Sie 食道楽 (くいどうらく) von 村井 弦斎 (むらいげんさい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.757 Zeichen · 321 Bildschirme
第二十九 誠実の人
と嬢の意見は小山に取りて上なき味方。小山は悦んで中川を顧み「ねー中川君、お登和さんの御話によっても大原君の大食は矯正する事が出来るよ。大食をさえ矯正したら大原君は実に得難い人物だゼ。何となればあの位誠実な心を持っている人は今の若い人に珍らしい。昨日もよほど不思議な半襟をお登和さんへのお土産に持って来たといって僕の家内が頻に笑っていたがそこが大原君の貴い処だ。もし女の機嫌を取る事が上手でお登和さんの気に入るような上等の半襟を買って来るような人だったら決して油断がならない。大原君は人の悪い書生に欺されたのだそうだ。人を欺す者よりも欺される人の方が貴いではないか。ねーお登和さん、大原君のお土産には赤心が籠っていますよ。十円二十円のお土産をくれる人があっても赤心の籠らんものは貴くありませんが大原君の赤心は昨日の半襟に充満しています。貴嬢もよくその事を御存知でしょう」と語る処偽りならねばお登和嬢もなるほどと思い「ホンにそう申せば大原さんは実意なお方で」と少しずつ風向が直って来る。
第二十九 誠実の人
小山はこの風向を利用して大原の事を吹込んと熱心に「中川君、僕が殊に大原君の誠心実意に重きを置く所以は大原君も僕らと同じく文学界に立つべき人だからである。