Japanische Klassiker mit Furigana
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しげき「すいせんともくぎょ」
三好十郎の仕事 別巻
三好 十郎
Lesen Sie 三好十郎の仕事 別巻 (しげき「すいせんともくぎょ」) von 三好 十郎 (みよしじゅうろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 220.145 Zeichen · 440 Bildschirme
目に会っていたようで、時によると、ホントの乞食のように落ちぶれて、病気になったりしてやって来たり、かと思うと、とんだ成金の奥さんみてえに着飾って、ニコニコしてやって見えたり、また時によると、妙な三百代言みてえなご亭主とも旦那ともつかねえ男と一緒にやって来たり。つい、向うの境涯の潮先と金吾の方の潮先とが出会うということがねえだなあ。そうしちゃ春子さまはまた東京へ戻って、何やら勝手な暮しをなすってるようだし、そうやって十年の余も過ぎてしまって、世の中は大正から昭和に入りやしてね。すると、金吾の方でも、もう四十をとうに過ぎて、春子さまのことを考えても、カッとなることも、ダンダンとなくなる。それだけに、気持の底には深く深くあの人のことを思いながら、まあ嵐が過ぎて、海が凪いだような状態といいやしょうか、それはそれでわりに落ちついた十何年でやした。いやあ、金吾にとっちゃ、そうは言っても、雨が降っても風が吹いても思うのは春子さまのことで、年中、辛いことだったでやしょうが、しかし金吾という男は、胸の中がどんなに苦しくても、そのために身をもち崩したりするような奴じゃなかった。