Japanische Klassiker mit Furigana
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しげき「すいせんともくぎょ」
三好十郎の仕事 別巻
三好 十郎
Lesen Sie 三好十郎の仕事 別巻 (しげき「すいせんともくぎょ」) von 三好 十郎 (みよしじゅうろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 220.145 Zeichen · 440 Bildschirme
春子 ああ、思い出したわ。札幌農大の寮歌、そうだ。思い出したわ。そうそう、あれはいつ頃だろう、ねえ金吾さん。私が女学校を卒業した年の夏だったかしら。あのそれ、ここにみんなでやって来て、あなたに案内して貰って、八つ岳の途中まで登った。そう、あの時には敏行や香川の賢一さんもいらした。思い出したわ。
金吾 はは、そうでやす。あれからもう随分になりやすねえ。
春子 敏行……香川さん……敦子さま……どうしたんだろう、そうだ、いえ、あの――
金吾 なんでがす?
春子 (何のキッカケもなく不意に涙声になって)駄目ね、私って――違ってる。みんな違ってるの。そうだ、あの時、ホントは私が一番好きだったのは金吾さんだったのよ。そうなのよ。だのにどうしたんだろう、私って、自分の行きたいところへはどうしても行けないんだわ、そうだ、私はあの時に、金吾さんのお嫁さんになってりゃよかった。(とりとめのない、子供らしい、しかし、それだけにひどく真卒にひびく)それが駄目だわ、私と、それからホントの私の間に何かはさまっている。年中それが邪魔するの。そしてそっちの方へ行けない。どうしても私は、私のホントにしたいようには出来ないのよ。