Japanische Klassiker mit Furigana
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Lesen Sie 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.094 Zeichen · 411 Bildschirme
小坂部のゆくえを探しに出た侍女どもは、なんの手がかりもなしに帰って来た。三人の侍もむなしく戻った。あとから采女と権右衛門の出たことは誰も知らないので、館の内には不安の空気がいよいよ濃くなって来たところへ、権右衛門の馬の音がきこえた。彼が双ヶ岡で姫のゆくえを探しあてたという報告をうけ取って、皆もまず眉を開いた。姫が何のために遁世者の兼好をたずねたのか、それは確かには判らなかったが、大方は和歌の添削を乞いに行ったか、但しは昔物語の講釈でも聴きに行ったか、いずれにしても沙汰なしに出てゆくのは人騒がせであるというような蔭口もきこえたが、ともかくもかれが無事で帰って来ることが確かめられて、どの人の胸も軽くなった。しかし、その姫はなかなか戻らなかった。采女が一緒であるというのを聞いて、侍従はその戻りの遅いのも無理はないと察していたが、きょうも暮れ方から武蔵守師直の機嫌がよくない。さもないことに癇癪を起こして、夕餐の三宝を打ち毀し、土器を投げ砕いたので、侍女どもは恐れをなして早々に引き退がってしまった。
こうなると、姫の戻りが待たれるので、侍従も落ち着いてはいられなかった。