Japanische Klassiker mit Furigana
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Lesen Sie 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.094 Zeichen · 411 Bildschirme
「その神と申すは、大明国の神でおわしますか。」と、小坂部もおなじくひざまずいて訊いた。
京の町の四つ辻で、あかあかと照らす秋の月の下に、歴々の家の娘御とも見える艶やかなおとめと、気違いか乞食かとも見える異国の眇目の男とが向かい合って語っている。それが往来の人の眼を惹いて、いつのか間にか彼等のまわりは見物人の垣が結われた。中間は苦々しそうにその人垣を追いくずしている間に、二人の問答はだんだん進行して行った。眇目の男はその神に就いて委しい説明をあたえないで、単にそれは自分の信ずる神であると答えた。そうして、その神の指図によって、彼は遠い日本まで何物をか尋ねに来たのであると語った。
「その尋ぬるものが仮りにわたしであったとして、さてそれを尋ねあてたら、何とせらるるのじゃ。」と、小坂部は瞬きもせずに彼の顔を見つめた。
男も瞬きもせずに黙っていた。しかし彼の感情はいよいよ熱して来たらしく、その片眼は火のように輝いて見えた。
「わたしを異国へ連れて行こうとか。」と、小坂部はしずかに又訊いた。
君は頭をゆるく振った。
「わたしを神への生贄にしようとか。」
男はやはり黙っていた。