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Japanische Klassiker mit Furigana

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へいけがに

伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集

岡本 綺堂

Lesen Sie 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.094 Zeichen · 411 Bildschirme

Aozora Bunko

「不思議な奴じゃ。」と、そのうしろ姿を見送って、四人は一度につぶやいた。

彼はどこへ行くのであろう。小坂部はどこまでも彼のあとを追って行きたいような心持にもなって、暫くはうっとりと見送っていると、式台は俄かにざわめいて、義兄の三河守師冬が出て来た。師冬の顔の色は先刻よりも更に著しく緊張していた。彼のあとには三人の家来が付いていた。

「お帰りでござりまするか。」と、権右衛門らは門前に列んで頭を下げた。

師冬はやはりなんにも言わなかった。彼は妹と采女との顔を等分に見くらべたままで、つかつかと表へ出て行った。そのあとを二、三間追って、権右衛門は小声で訊いた。

「火急の陣触れ、何事でござりました。」

「まだ判らぬ。」と、師冬は不興らしく言った。「それにつけても父上の御病気が案じらるる。其方共も心して御介抱申せ。またそのほかにも眼に立つことがあらば、即刻にわが許まで注進を怠るな。よいか。」

相手の顔色が常よりもむずかしいので、権右衛門もその上に押して訊く訳にもゆかなかった。彼が委細かしこまって師冬に別れて、もとのところに引き返して来た時には、姫も侍共ももう奥へ入ってしまって、門前の柳の葉が音もなしにはらはらと散っていた。