Japanische Klassiker mit Furigana
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Lesen Sie 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.094 Zeichen · 411 Bildschirme
家来どもに申し付けて館まで送らしょうか。」
「いえ、それには及びませぬ。」
「いや、采女一人ではおぼつかない。四、五人の供を連れてゆけ。先刻のような狼藉者が再び襲いかかろうも知れん。」
兄の注意を無下にしりぞける訳にも行かないので、その言うがままに五人の家来に送られて、小坂部は采女と一緒に師冬の館を出た。外の木枯しはますます吹き募って、家来の二人が先きに立って振り照らしてゆく松明は、まだ二、三間を過ぎないうちに忽ちその光りを奪ってしまった。その途端に暗い中から軽げるように出て来た者があった。
「姫上ではござりませぬか。」
それが侍従の声であると知って、小坂部は立ち停まると、かれは摺り寄って小声で訴えた。
「御用心なされませ。一大事でござりまするぞ。」
「塩冶どのへ討っ手のことか。」
「いえ、そればかりではござりませぬ。」
かれがいよいよ声を低めて訴えるところによると、せんこく不意に襲いかかった狼藉者は、荏原権右衛門を頭とする七、八人の若侍であった。かれらは主人師直の指図によって、途中に待ち受けて小坂部を引っ捕え、あわせて采女を討ち果たそうとしたのであるらしい。