Japanische Klassiker mit Furigana
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Lesen Sie 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.094 Zeichen · 411 Bildschirme
こうして、ここで午飯を食って、三人はまた黙ってあるき出した。きょうは風のないうららかに晴れた日で、ゆくさきに見える山々が真っ青な大空の下にくっきりと浮き出していた。そこらで小鳥のさえずる声も晴れやかにきこえた。路ばたには枯れ残った秋草などがしおらしく咲いていた。秋の旅――まことにすがすがしい気分であるべき筈であるが、小坂部も采女もやはり夢のようであった。かれらは自分たちの袂にからんで来る蝶のゆくえを見送ろうともしなかった。
幾里あるいたか、もとより判らないが、行く行くうちに日は暮れかかって、三人はほの暗い野路をたどってゆくと、うしろの方から俄かにおびただしい人馬の音がきこえた。眇目の男は屹と見かえって、あわただしく二人に注意した。
「追っ手じゃ。草にかくれて……。」
追っ手と聞いて二人もうろたえた。かれらは伊勢物語に見る武蔵野の落人のように、そこらの高い草むらをかき分けて身を忍ばせていると、やがて武者一騎が馬の腹にとどくほどの枯れすすきをざわめかして駈けて来た。
「人数は十四五人か、二十人。女の乗物を囲んで通ったを知らぬか。」と、彼は鞍の上から呼びかけた。