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Japanische Klassiker mit Furigana

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へいけがに

伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集

岡本 綺堂

Lesen Sie 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.094 Zeichen · 411 Bildschirme

Aozora Bunko

それがやがて我が身の上になって、采女ともこうして永久に別れることになってしまった。何事も夢である。思えば思うほど怖ろしい悪夢である。自分はやはり堀川の屋形に住んでいて、こんな悪夢に魘われているのではないかと、小坂部は疑った。

かれの眼の前は俄かに明かるくなって、そこには林をなした桜が美しく咲き乱れていた。春らしい日の光りがうららかに輝いて、どこからで小鳥の歌う声もきこえた。桜の梢を越えて、うす緑の山が幾重にも重なっているのが遠く仰がれた。交野か、嵯峨か、なんでも一度ならず見たことのある景色だとは思いながら、小坂部はそこが何処であるかをはっきりと思い出すことが出来なかった。あるいは今日の昼にたどって来た路ではないかなどとも考えているうちに、桜の間をくぐって若い美しい侍の姿があらわれた。このごろ都で流行るだんだら染めの薄小袖――それが采女であると知った時に、かれは魂がとろけるほどに嬉しかった。かれは軽い袂を胡蝶のようにひるがえして、男のあとを追って行った。袖と袖とが摺り合うように近付いた時に、二人の手はいつか握り交わされていた。二人は眼と眼で笑ったばかりで、なんとも言わずに列んであるいた。