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Japanische Klassiker mit Furigana

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へいけがに

伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集

岡本 綺堂

Lesen Sie 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.094 Zeichen · 411 Bildschirme

Aozora Bunko

播州で赤松といえば敵にも味方にも畏れられたも無理はない。その名城も主人をうしのうて、今は狐狸の棲家、荒るるがままに任かしてあるが、白鷺の名を呼ばるる城の壁は、あめ風にくずれもせいで昔ながらに残っている。天主閣も昔のままじゃ。」

小坂部は黙って古城の歴史を聴いていた。先刻見た蝦蟆のような奇怪な黒雲は、南蛮人が築いたという天主閣の上に、あたかも真っ直ぐに落ちかかっていた。

「判ったか。あの天主閣がお身の棲家じゃ。」

男は先きに立って又あるき出した。小坂部は夢のように、そのあとに付いてゆくと、男は桝形を行きぬけて、閣の入口に立った。ゆうぐれの色はだんだんと深くなって、そこらになびく芒の穂もただ薄白く見えるばかりであった。黒い雲のまん中には悪魔の眼のような大きい星がたった一つ赤く光っていた。

「足もとがあぶない。滑るまいぞ。」

男は小坂部に注意しながら、細い階段をのぼろうとすると、うす暗い中から一羽の大きい鳥が翅をひろげて飛んで来て、男の左の肩のあたりに吸い付いた。

「今戻ったぞよ。」と、男は人に言うように声をかけた。鳥は大きい蝙蝠であった。

一階を登りつくすと、そこにはかなりに広い部屋があった。