Japanische Klassiker mit Furigana
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Lesen Sie 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.094 Zeichen · 411 Bildschirme
恥を包んでやろうとのお志じゃ。ありがたいと思うて、そのお指図に従われい。」
「ええ、おのれが……。言わして置けば勝手なことを……。小坂部の使いとあれば、不孝の娘の名代に、まずおのれからこうじゃ。」
師直はその太刀をおいて、更にそこに立てかけてある長巻をとった。彼は物に憑かれたように哮り狂って、その長巻を掻い込んで、板縁からひらりと飛び降りると、男は足をあげて篝火を蹴倒した。そうして、雨の中をいずこへか立ち去ってしまった。
「兄上……兄上……。」
狂気のようにそこらを追い廻している師直を、師泰は気づかわしげに呼び戻した。
「そのような奴にお構いなさるな。時刻が移れば、かの用意を……。」
「むむ。」
師直は長巻を杖にして、雨に濡れながら突っ立っていると、その眼の先きにまた一つの影があらわれた。
「や、おのれは小坂部……。」
長巻をとり直そうとすると師直の腕は、俄かにしびれて働かなかった。小坂部は都にあった時とちっとも変わらない。むしろその当時よりもひとしおの妖麗を加えたような笑顔を見せた。
「わたくしは姫山の古城の天主閣を永久の棲家と定めて、ふたたび下界へは降るまいと誓うていましたが、使いの戻りが余りに遅いので、自分にここへ尋ねて来ました。