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Japanische Klassiker mit Furigana

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へいけがに

伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集

岡本 綺堂

Lesen Sie 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.094 Zeichen · 411 Bildschirme

Aozora Bunko

ここへ来てから足かけ八年、毎日の山かせぎには馴れていても、やっぱり戻るまでは案じられます。

(お妙は仕立物を片付ける。時の鐘。木の葉さびしく散る。)

おいよ (空をみる。)秋の日は短い。きょうももう暮れるか。

(鐘の声つづけて聞ゆ。)

お妙 (おなじく空を見る。)日が暮れると、なんだか怖ろしいようです。

おいよ お前は日が暮れるのがそんなに怖ろしく思われますか。

お妙 悪い狼が出るというので……。

おいよ 悪い狼が出るというので……。(ため息をついて。)日が暮れると、わたしもまったく怖ろしい。いや、夜ばかりではない。昼間でも狼の噂を聞くと、わたしは身の毛が悚立つような……。(身をふるわせる。)わたしは狼に取憑かれたのかも知れない。

お妙 (ぎょっとして。)え。

おいよ (気をかえて、無理に笑う。)ほほ、おまえは相変らず気が弱い。こんなことを云っているうちに、あの人ももう戻られるであろう。どれ、今のうちに炉の火を焚きつけて置きましょうか。おまえは夕御飯の仕度をして下さい。

お妙 あい、あい。

(薄く風の音。おいよは炉に粗朶をくべる。お妙は仕立物を押入れに片付けて、奥に入る。