Japanische Klassiker mit Furigana
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ちきゅうとうなん
地球盗難
海野 十三
Lesen Sie 地球盗難 (ちきゅうとうなん) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 84.072 Zeichen · 168 Bildschirme
すると、この小さい手がたいへん大きく見えたことになるネ。近ければ近いほど、大きくみえる。だからネス湖の怪物というのも、その正体は案外近くの水面に浮いていた流木か、それとも何でもない蛇の頭だったかもしれないという話もあるそうだよ。すこしは安心したろう」
「でも、あたし、やはり恐いわ。自分の眼で、それが流木だったか蛇の頭だったか見きわめないうちは、安心できないわ」
「じゃ、安心するために、お美代ちゃんはこれから蘇格蘭のネス湖まで出かけてみるかい。はッはッはッ」
「ホホホホ。……」
二人は声を合わせて笑った。
南には真青な海が満々たる海水を湛えており、北には杉や檜や松が青々と茂っている連山を背負い、その間のなだらかな斜面の上に建っている五、六十軒の家――それがこの矢追村だった。初夏の空はすっきり澄みわたって、二人の顔といわず背中といわず、強い太陽の光がジリジリと照りつけていた。しかしなんという平和、なんというすがすがしさ、武夫とお美代とは、ネス湖の怪物の話から始まった不気味さを、この和やかな村の風景でやっと取りかえすことができたように思った。甲虫のいる櫟林はもうそこに見えている。