Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠3

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠3 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 214.131 Zeichen · 423 Bildschirme

Aozora Bunko

「黒さん、しっかり頼むよ」

道庵先生に言葉をかけられるたびに、印度人がドギマギして、ほかの人が見てもおかしいと思うくらいに、槍の扱いがしどろになってしまうから見物が、

「なんだか危なっかしい手つきだ」

幸いに面の色は真黒だから、表情が更にわからないけれど、どうも黒さんの調子が甚だ変なのであります。それでもやっと数番の槍投げを了えて、

「次は槍飛び!」

口上がかかると、

「しっかりやれ、道庵がついてるぞ!」

道庵がまた大きな声。

槍飛びの芸当にかかるはずの印度人が、この時ふいと舞台から逃げ出しました。

「おい黒さん」

口上言いが驚いて呼び止める。それを耳にも入れないで、印度人は、槍を突いて跛足を飛ばして楽屋の方へ逃げ込みます。

「おや、黒さん、どうしたんだい」

口上言いや出方が飛んで行って、印度人を連れ戻そうとするのを、印度人は頓着なしに楽屋に逃げ込んでしまいます。

いよいよ本芸にかかろうとする前に、肝腎の太夫さんが黙って逃げ出したのだから、

「どうしたんだ」

「怪しいな」

「急病でも出たのかな」

「ひょいと出て、ひょいと引込んでしまやがった」

「おかしな奴だよ」

「出方が追っかけて行かあ」