Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
だいぼさつとうげ
大菩薩峠3
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠3 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 214.131 Zeichen · 423 Bildschirme
忠作は歯噛みをしながら、このごろでは毎夜、蕎麦屋の荷物を担いで、蕎麦は売ったり売らなかったりして、夜遅くまで市中を歩いて佐久間町の裏長屋へ帰ります。今宵は浅草方面から売り歩いて両国橋手前まで来ると、
「駕籠屋」
闇の中から人の声。それに呼ばれて朦朧の辻駕籠が、
「へえ」
と言って振返った。とある家の用水桶の蔭に真黒な二人、両方とも長い刀を差しています。そこで駕籠屋を不意に呼びかけたから駕籠屋も驚いたようであったし、通りかかった忠作も少し驚きました。
「駕籠をこれへ持って参れ」
「どうもお気の毒さま、これから蔵前のお得意まで行くんでございますから」
「黙れ! 黙って駕籠を持って来い」
嚇しておいて、長いのをスラリと引抜くのではなく、懐中から投げ出したのは若干の酒料らしい。
用水桶の蔭に隠れていた浪人体の怪しの者は、背に引きかけていた一人を労って駕籠の中へ入れると、
「旦那、どこまで行くんでございます」
「黙って拙者の行くところまで行けばよい」
駕籠側に一人が附添うて無暗に走り出しました。
それを見ていた忠作は、何と思ったか蕎麦屋の荷物を抛り出して、一目散に駕籠の跡を追いかけました。