Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠3
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠3 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 214.131 Zeichen · 423 Bildschirme
まるっきり証拠も何もないことでお捕まえなさるのはあんまり御無理なことで……」
「ナニ、証拠がないから無理だと? 証拠呼ばわりをして言い抜けをしようなどとは、いよいよ以て図々しい。証拠が有ろうとも無かろうとも、我々歩兵隊の耳に入った以上は退引のならぬことじゃ。しかし、理非曲直が立たねば政道も立たぬ道理じゃ、歩兵隊は無理を言わぬという証拠にその証拠を見せてやる。これ見ろ、これはいま貴様の家の店前で拾ったものじゃ、さあこれを見たら文句はあるまい」
突き出したのは、この店へ入りがけに茶袋が拾った一枚の紙。それはいま読んだ「恐れ乍ら売弘めの為の口上、家伝いゑもち、別製煉やうくん」と書いた、紛れもなく今の将軍家を誹謗した刷物です。悪い奴に、悪い物を拾われました。
「この証拠を見た上は文句はあるまい。文句のない上に、亭主、貴様の罪が重くなったぞ。さあ、拙者と同道して、両人共に我々の兵営まで罷り出ろ。あとのやつらは神妙に待っておれ、お差図があるまでここを動いてはならん」
この危急存亡の秋に、天なる哉、命なる哉、ゆらりゆらりとこの店へ繰込んだものがありました。それは別人ならず、長者町の道庵先生でありました。