Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠3
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠3 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 214.131 Zeichen · 423 Bildschirme
「わたしたちはこのあいだ帰ったのよ、まあお上り」
「上っちゃ悪かろう、親方はいねえのかい」
米友は楽屋の中を見廻しましたけれど、不幸にして、お君の姿は見えませんでした。土間を見たけれども、ムクの姿をさえ見ることができませんでした。
「親方は、ちょっとそこまで用たしに行ったから、もう直ぐに帰るだろう」
「あの……あの、君ちゃんはいねえのか」
「君ちゃん……」
と言って、美人連は面を見合せました。
「君ちゃんも旅から一緒に帰ったんだろう、どこにいるんだい」
米友は、美人連が見合せた面をキョロキョロと見ていました。
「君ちゃんはねえ……君ちゃんは帰らないんだよ」
「おや、君ちゃんは帰らないんだって? みんながこうして面を揃えているのに、君ちゃんだけが帰らないのかい」
「ええ、君ちゃんだけが帰らないんだよ」
「そりゃどうしたわけなんだい、君ちゃん一人を置いてけぼりにして来たのかい、そんなわけじゃあるめえ」
米友がお君の安否を気遣う様子があんまり熱心であったから、美人連はおかしがって、つい冗談を言ってやる気になりました。
「米友さん、君ちゃんは旅先で、いい旦那が出来たから、それで帰るのがいやになったのだよ」