Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠3
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠3 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 214.131 Zeichen · 423 Bildschirme
その美しい消息と床しい思いやりとが、お絹の心持をさんざんに悪くしてしまいました。
人の手紙というものは、見るべきものでも見せるべきものでもないのに、それを盗んで見るということはこの上もない卑劣なことで、お絹もそこまで堕落した女ではなかったのだけれど、好奇から出立して、我を失うようになるのは浅ましいことであります。
その手紙を読んでしまったあとでお絹は、ついにその筆蹟をうつすというところまで進んで来ました。駒井能登守の筆蹟を透きうつしにして取ってしまいました。これはどういうつもりか知らん。さすがにそれからあとを破りもしなければ裂きもしないで、もとのように丁寧に封をします。
好奇の隣りには、いつでも罪悪が住んでいる。物を弄ぼうと思えば必ず己れが弄ばれる。お絹は悪い計画をする女ではないにかかわらず、男を見るとこういういたずら心が起って、兵馬を口説いてみたり、竜之助の時の留女に出てみたり、がんりきを調戯ったりしていたのが、ここへ来ると駒井能登守を、また相手にする気になってしまいました。
能登守の手紙を見てしまったことが何か能登守の弱点を押えたように思われて、その取っておいた筆蹟から、或いは能登守を困らせてやるようないたずらができまいものでもあるまいと思っていました。