Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠3

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠3 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 214.131 Zeichen · 423 Bildschirme

Aozora Bunko

あれと驚くまもなくお絹の首筋をすーっと一巻き捲いてしまいました。

「何を……何をなさるの……」

その幽霊のようなものは、お絹の首筋をすーッと捲いて、その面を自分の胸のあたりへ厳しく締めつけたものだから、それでお絹は、言葉を出すことができなくなってしまいました。

「御新造、がんりきだ、百だよ」

と言って、有無を言わさず縁の下へ引き下ろしてしまいました。

河童に浚われるというのは、ちょうどこんなのだろうと思われます。お絹は一言も物を言う隙さえなく、欄の上から川の岸の笹藪の中へ、何者とも知れないものに抱き込まれてしまいました。何物とも知れないのではない、その者はお絹の首を抱いてその面をしっかりと胸に当て、口の利けないようにしておいてから、「おれは、がんりきだ、百蔵だ」と名乗ったはずです。

本陣の方では、こんなことを気のついたものが一人もありませんでした。

能登守は事務に精励であったし、米友は与力同心を相手に気焔を吐いているし、そのほかの連中とてもそれぞれの仕事をしていたり、世間話をしていたりしていたものだから、一向この方面のことは閑却されていました。ただ一人お松だけが、お絹の湯上りがあんまり悠長なのを気にして、二度までも湯殿へ来て見ましたけれど、そこにも姿を見ることができませんでしたから、ようやく気が揉め出して米友