Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠3
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠3 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 214.131 Zeichen · 423 Bildschirme
「あっ、苦しい」
またも二間ばかり下へ辷り落ちたがんりきは、お絹と共に折重なって、暫らくは起き上れません。
「あっ、苦しくてたまらねえ」
やっと起き直って見ると、向う脛からダラダラと血が流れていました。
「畜生、こんなに向う脛を摺剥いてしまった」
そのままにしてお絹を引っかけて、また上りはじめてまた辷りました。
「こいつはいけねえ、いくら力を入れても辷って上れねえ、はッ、はッ」
やっと一間も登ると、ズルズルと七尺も辷っては落ちる。
「こんなことをしていたんじゃあ始まらねえ、帯はねえか、帯は」
ここに至ってがんりきは、とても手首を掴まえて肩にかけて上ることの覚束ないのを悟ったから、帯を求めて背中へ括りつけて登りにかかろうと気がついて、はじめて手首を放して大事そうにお絹の身体を岩蔭に置きました。
「死んでいるんじゃねえ、殺したと思うと違うんだよ、もう少し辛抱すりゃ活して上げますぜ御新造、はッ、はッ」
例の鎌のような月が、微かながらその光を差して、真白なお絹の面と肌とが活きて動くように見え出した時、がんりきはどこかで大木の唸るような音を聞きました。
猫が鼠を捕った時は、暫らくそれをおもちゃにしているように、自分でそこへ抛り出したお絹の面を見ると、がんりきは物狂わしい心持で、