Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠3

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠3 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 214.131 Zeichen · 423 Bildschirme

Aozora Bunko

「お嬢様、今日はこれだけでお帰りなさいませ」

「いいえ、お城を見て行きましょう」

「お城の方へおいであそばすと暇がかかって、お家で御心配になりますから」

「そんなことはかまわない、お城の方へ廻ってみたい、お前いやなら一人でお帰り」

「それではお伴を致しましょう」

お君はやむことを得ずして、賑かな方へとお銀様に引かれて行くのでありました。その間にお君は紫縮緬の女頭巾を被り直しました。お銀様は、いつもよりは早い足どりでお城の大手の方へ、大手の方へとめざして歩いて行きましたが、どうもお君は、それが少しずつ物狂わしいように思われて、不安の念に駆られないわけにはゆきません。

甲府の城は平城ではあるけれど、濠も深く、櫓も高く、そうして松の間から櫓と塀の白壁が見え、その後ろには遥かに高山大岳が聳えている。濠を廻って二人の若い女は大手の門の前へ立ちました。

ここへ来ると、お天守台も御櫓も前に見えなかったのが、よく見えます。

お城の大手の濠の前に立ってお銀様は、

「君ちゃん、わたしは、どうも幸内がこのお城の中にいるようにばかり思われてならない」

と言いました。

「左様でございますか」