Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠4
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 264.133 Zeichen · 524 Bildschirme
「不審と仰せらるるのは?」
「よろしい、しからば後刻また改めてお伺い致そう、御迷惑ながらそれまでは、このお宿をお立ち出でなさらぬように願いたい」
「心得ました」
「これは御無礼の段、御用捨」
と言って役人と手先とは、ゾロゾロと帰ってしまいました。
ともかくも帰ってしまったから、お松はホッと息をつきました。ホッと息はついたけれどこれは、いよいよ安心がならないのであります。存外、立入って調べることはしなかったけれども、実はここへ検束されてしまったのと同じことであります。後刻というのはいつ頃のことか知らないが、その時に来て委細を調べられてしまえば、何もかも曝露されてしまうことであります。関所を抜けて来たことも表向きになってしまわねばならぬ。駒井能登守家中ということや、和田静馬ということの化けの皮もたちどころに剥がれてしまわねばならず、その上に、あられもない男装して神尾の家を抜け出したことの一部始終は、たあいもなく露見してしまうのであります。お松はようやく、絶体絶命のようなところへ追い詰められる気持に迫られて、いざといえば自害をして果てるばかりと、小刀を膝のところへ取り上げて、その後の成行を怖ろしい思いで待っていました。