Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠4
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 264.133 Zeichen · 524 Bildschirme
けれども、待ち構えている役人も手先も、容易にやって来る模様は見えませんでした。かなり身体も心も疲れているから、もう寝てしまいたい時刻であったけれど、いつ役人が押しかけて来るか知れないのだから、寝てしまうわけにもゆきませんでした。
行燈の影に、ぼんやりと小刀を膝の上へ載せたままで、限りのない心細い思いと、それから危険を前にした一種の張りきった心とで、お松は事のなりゆきを待っています。
甲府から江戸までは僅かに三十余里の旅、前に長い旅をしていた経験から、それをあまりにたかを括った無謀を、ことごとにお松は覚ってくるのでありました。
「もし、役人に引き立てられて、本陣とやらへ行かねばならぬ場合には自害する、いっそ、こうなっては、その前にここで死んでしまった方がよいかも知れぬ」
お松は、調べられて一切が曝露した暁に恥辱を取るよりは、それより前に死んでしまった方がと、さしもに気が張っているお松も、とても逃れぬ運命と死を覚悟してみると、一時に心弱くなってきて涙を落しました。
その時に、役人の来るべき表口でなく、障子を隔てた廊下の方で人の気配がするようであります。