Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠4
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 264.133 Zeichen · 524 Bildschirme
「それもその通り、尋常では幸内が拙者に譲る気づかいもなし、拙者もまた、微禄して、恥かしながらこの刀を譲り受けるだけの金が無い、それ故に少し荒っぽい療治をしてこの刀をぶんどった」
「エ、エ!」
「ははは、驚いたか」
神尾主膳はふたたび大盃の酒を傾けて咽喉を鳴らしながら、意地悪くお銀様の面を見つめて、しばらく黙っておりました。
お銀様はこの時、下唇をうんと喰い締めました。そうして見る見るうちにその面が土色になって、眼が釣り上るのであります。
「幸内が、どうして幸内が、この刀をあなた様に差上げました」
「早く言えば奪い取ったのじゃ」
「エ、エ!」
「幸内に酒を飲ましたのじゃ、その酒は毒の酒じゃ、それを飲ますと酔いつぶれた上に声が潰れるのじゃ。それを飲ましておいて、幸内が手からこの刀を奪い取って、おれの差料にしたのじゃわい」
主膳は三たび大盃を上げて、心地よくその一杯を傾け尽しました。
「あ、あ」
とお銀様は面を屹と上げて、その釣り上った眼で神尾主膳を睨みました。
「うむ、それからまた、幸内めを種に使って一狂言を組もうと思うて、縄でからげてこの屋敷へ隠して置いたが、手ぬかりでツイ逃げられた」