Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠4

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 264.133 Zeichen · 524 Bildschirme

Aozora Bunko

ぬわい、はて、この夜中に、どこへ行った、眼の見えぬくせに、はははは、眼が見えぬから夜と昼の区別がつかず、どこぞへ彷徨い出したかな」

神尾主膳には酒乱の癖があります。しかしこちらへ来てからは酒乱の癖が出るほどに酒を飲みませんでした。主膳もこれだけは多少謹慎の心があったのであります。それにどうしたものか今宵は、その酒乱に近いほど酒を過して来たもののようであります。

室内が明るくなると共に、主膳は四辺をまた見廻しはじめました。

「刀もある、槍もある、敷物もある、屏風もある……茶道具もあれば煙草盆まである、襖、唐紙……」

こんなことを言って室内を見廻した主膳の酔眼がトロリとして、室の片隅の長持の上へ落ちました。

「あ、あれだ、誰もおらぬと思うたのはこれも間違い、あの中に一人の男がいる、口の利けない男がいる、今それを引き出して玩弄にするのだ」

主膳は、またふらふらと立って長持の傍へ行きました。

「幸内、長持の中にいる幸内、これへ出ろよ、そのように長持の中に隠れてばかりいては窮屈であろう、貴様も若い身空じゃ、そう長持の中に隠れていずと、ちっとは広いところへ出てこいよ、壺中の天地ということもあるから、それは長持の中もよかろうけれど、若いのにそう隠れてばかりいては命の毒じゃ、それこそ長持ちがないぞ」