Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠4

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 264.133 Zeichen · 524 Bildschirme

Aozora Bunko

主膳は刀を提げて長持の中へ片手を入れました。その長持には蓋がしてありません。蓋をしてない長持の中へ主膳は手を入れて、鼠を吊し出すような手つきをして、その襟髪を取って引き立てたのは幸内であります。

かわいそうに幸内は、いまだにこの長持の中へ入れられてあったのであります。袋は被せられていないけれども痩せきっておりました。両手は前に括られていました。両足は揃えて固く縛られてありました。争うにも力は尽き果て、物を言おうにも声が立ちません。

ズルズルと長持の中から幸内を引張り出した神尾主膳は、それを燈火に近いところへ持って来て、

「はははは」

主膳は幸内をそこへ引き倒して置いて、

「幸内、そちに窮命をさせて、拙者は気の毒に思う、そちには怨みも憎みもないのじゃ、これというのは名刀の祟り、小人罪なし珠を抱いて罪ありということがある、幸内罪なし刀を抱いて罪ありというのじゃ、伯耆の安綱が悪いのじゃから不祥せい……それからまたお前の主人の伊太夫の娘、気の毒ながらお化けのような娘、あれを拙者が嫁にしたいと言うのは、抱いて寝たいからではないぞ、いとしい恋しいと思うからではないぞ、恥かしながら拙者はいま手許が不如意じゃ、伊太夫の財産に惚れたのじゃ、娘には恋なし、財産があるから恋ありと言わば言うものよ、ははははは」