Japanische Klassiker mit Furigana
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こうじょうさいぼう
工場細胞
小林 多喜二
Lesen Sie 工場細胞 (こうじょうさいぼう) von 小林 多喜二 (こばやしたきじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 91.234 Zeichen · 184 Bildschirme
「ちえッ! 又、ズロースをはいてやがる!」
なれてくると、俺もそんな冗談を云うようになった。
「共産党がそんなことを云うと、品なしだぜ。」
とエンコ(公園)に出ている不良がひやかした。
よく小説にあるように、俺たちは何時でもむずかしい、深刻な面をして、此処に坐ってばかりいるわけではないのだ。この決してズロースを忘れない娘さんに対する毎日々々の「期待」が、蒸しッ返えしの長い長い二十九日を、案外のん気に過ごさしてくれたようである。勿論その間に、俺は二三度調べに出て、竹刀で殴ぐられたり、靴のまゝで蹴られたり、締めこみをされたりして、三日も横になったきりでいたこともある。別の監房にいる俺たちの仲間も、帰えりには片足を引きずッて来たり、出て行く時に何んでもなかった着物が、背中からズタ/\に切られて戻ってきたりした。
「やられた」
と云って、血の気のなくなった顔を俺たちに向けたりした。
俺たちはその度に歯ぎしりをした。然し、そうでない時、俺たちは誰よりも一番燥ゃいで、元気で、ふざけたりするのだ。
十日、七日、五日……。だん/\日が減って行った。そうだ、丁度あと三日という日の午後、夕立がやってきた。