Japanische Klassiker mit Furigana
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ひがんすぎまで
彼岸過迄
Lesen Sie 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.333 Zeichen · 385 Bildschirme
しかもその座頭が森本に今晩はと挨拶をしてまたすたすた上って行ったと云うんだから、余り妙だと思ってなおよく聞いて見ると、実は案内者が一人ついていたのだそうである。その案内者の腰に鈴を着けて、後から来る盲者がその鈴の音を頼りに上る事ができるようにしてあったのだと説明されて、やや納得もできたが、それにしても敬太郎には随分意外な話である。が、それがもう少し高じると、ほとんど妖怪談に近い妙なものとなって、だらしのない彼の口髭の下から最も慇懃に発表される。彼が耶馬渓を通ったついでに、羅漢寺へ上って、日暮に一本道を急いで、杉並木の間を下りて来ると、突然一人の女と擦れ違った。その女は臙脂を塗って白粉をつけて、婚礼に行く時の髪を結って、裾模様の振袖に厚い帯を締めて、草履穿のままたった一人すたすた羅漢寺の方へ上って行った。寺に用のあるはずはなし、また寺の門はもう締まっているのに、女は盛装したまま暗い所をたった一人で上って行ったんだそうである。――敬太郎はこんな話を聞くたびにへえーと云って、信じられ得ない意味の微笑を洩らすにかかわらず、やっぱり相当の興味と緊張とをもって森本の弁口を迎えるのが例であった。