Japanische Klassiker mit Furigana
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ひがんすぎまで
彼岸過迄
Lesen Sie 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.333 Zeichen · 385 Bildschirme
彼は洋食店以後、中折を被った男の人柄と、世の中にまるで疑をかけていないその眼つきとを注意した結果、この時ふと、こんな窮屈な思いをして、いらざる材料を集めるよるも、いっそ露骨にこっちから話しかけて、当人の許諾を得た事実だけを田口に報告した方が、今更遅蒔のようでも、まだ気が利いていやしないかと考えて、自分で自分を彼に紹介する便法を工夫し始めた。そのうち電車はとうとう終点まで来た。雨はますます烈しくなったと見えて、車がとまるとざあという音が急に彼の耳を襲った。中折の男は困ったなと云いながら、外套の襟を立てて洋袴の裾を返した。敬太郎は洋杖を突きながら立ち上った。男は雨の中へ出ると、直寄って来る俥引を捕まえた。敬太郎も後れないように一台雇った。車夫は梶棒を上げながら、どちらへと聞いた。敬太郎はあの車の後について行けと命じた。車夫はへいと云ってむやみに馳け出した。一筋道を矢来の交番の下まで来ると、車夫は又梶棒をとめて、旦那どっちへ行くんですと聞いた。男の乗った車はいくら幌の内から延び上っても影さえ見えなかった。敬太郎は車上に洋杖を突っ張ったまま、雨の音のする中で方角に迷った。