Japanische Klassiker mit Furigana
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ひがんすぎまで
彼岸過迄
Lesen Sie 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.333 Zeichen · 385 Bildschirme
敬太郎はやむを得ず茶色になった古そうな懸物の価額を想像したり、手焙の縁を撫で廻したり、あるいは袴の膝へきちりと両手を乗せて一人改たまって見たりした。すべて自分の周囲があまり綺麗に調っているだけに、居心地が新らし過ぎて彼は容易に落ちつけなかったのである。しまいに違棚の上にある画帖らしい物を取りおろしてみようかと思ったが、その立派な表紙が、これは装飾だから手を触れちゃいけないと断るように光るので、彼はついに手を出しかねた。
こう敬太郎の神経を悩ました主人は、彼をやや小一時間も待たした後で、ようやく応接間から出て来た。
「どうも長い間御待たせ申して。――客がなかなか帰らないものだから」
敬太郎はこの言訳に対して適当と思うような挨拶を一と口と、それに添えた叮嚀な御辞儀を一つした。それからすぐ昨日の事を云い出そうとしたが、何をどう先に述べたら都合がいいか、この場に臨んで急にまた迷い始めたうちに、切り出す機を逸してしまった。主人はまた冒頭からさも忙がしそうに声も身体も取り扱かっている癖に、どこか腹の中に余裕の貯蔵庫でもあるように、けっして周章て探偵の結果を聞きたがらなかった。