Japanische Klassiker mit Furigana
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ひがんすぎまで
彼岸過迄
Lesen Sie 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.333 Zeichen · 385 Bildschirme
それがああ云う人の因果だと思えばそれで好いじゃないか。田口は僕の義兄だから、こう云うと変に聞えるが、本来は美質なんです。けっして悪い男じゃない。ただああして何年となく事業の成功という事だけを重に眼中に置いて、世の中と闘かっているものだから、人間の見方が妙に片寄って、こいつは役に立つだろうかとか、こいつは安心して使えるだろうかとか、まあそんな事ばかり考えているんだね。ああなると女に惚れられても、こりゃ自分に惚れたんだろうか、自分の持っている金に惚れたんだろうか、すぐそこを疑ぐらなくっちゃいられなくなるんです。美人でさえそうなんだから君見たいな野郎が窮屈な取扱を受けるのは当然だと思わなくっちゃいけない。そこが田口の田口たるところなんだから」
敬太郎はこの批評で田口という男が自分にも判切呑み込めたような気がした。けれどもこういう風に一々彼を肯わせるほどの判断を、彼の頭に鉄椎で叩き込むように入れてくれる松本はそもそも何者だろうか、その点になると敬太郎は依然として茫漠たる雲に対する思があった。批評に上らない前の田口でさえ、この男よりはかえって活きた人間らしい気がした。