Japanische Klassiker mit Furigana
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ひがんすぎまで
彼岸過迄
Lesen Sie 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.333 Zeichen · 385 Bildschirme
千代子は五人のうちで、一番この子を可愛がっていた。来るたんびにきっと何か玩具を買って来てやった。ある時は余り多量に甘いものをあてがって叔母から怒られた事さえある。すると千代子は、大事そうに宵子を抱いて縁側へ出て、ねえ宵子さんと云っては、わざと二人の親しい様子を叔母に見せた。叔母は笑いながら、何だね喧嘩でもしやしまいしと云った。松本は、御前そんなにその子が好きなら御祝いの代りに上げるから、嫁に行くとき持っておいでと調戯った。
その日も千代子は坐ると直宵子を相手にして遊び始めた。宵子は生れてからついぞ月代を剃った事がないので、頭の毛が非常に細く柔かに延びていた。そうして皮膚の青白いせいか、その髪の色が日光に照らされると、潤沢の多い紫を含んでぴかぴか縮れ上っていた。「宵子さんかんかん結って上げましょう」と云って、千代子は鄭寧にその縮れ毛に櫛を入れた。それから乏しい片鬢を一束割いて、その根元に赤いリボンを括りつけた。宵子の頭は御供のように平らに丸く開いていた。彼女は短かい手をやっとその御供の片隅へ乗せて、リボンの端を抑えながら、母のいる所までよたよた歩いて来て、イボンイボンと云った。