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Japanische Klassiker mit Furigana

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ひがんすぎまで

彼岸過迄

夏目 漱石

Lesen Sie 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.333 Zeichen · 385 Bildschirme

Aozora Bunko

けれども慈愛に充ちた親としての父を僕に紹介する時には、彼女の態度が全く一変する。平生僕が目のあたりに見ているあの柔和な母が、どうしてこう真面目になれるだろうと驚ろくくらい、厳粛な気象で僕を打ち据える事さえあった。が、それは僕が中学から高等学校へ移る時分の昔である。今はいくら母に強請って同じ話をくり返して貰っても、そんな気高い気分にはとてもなれない。僕の情操はその頃から学校を卒業するまでの間に、近頃の小説に出る主人公のように、まるで荒み果てたのだろう。現代の空気に中毒した自分を呪いたくなると、僕は時々もう一遍で好いから、母の前でああ云う崇高な感じに触れて見たいという望を起すが、同時にその望みがとても遂げられない過去の夢であるという悲しみも湧いて来る。

母の性格は吾々が昔から用い慣れた慈母という言葉で形容さえすれば、それで尽きている。僕から見ると彼女はこの二字のために生れてこの二字のために死ぬと云っても差支ない。まことに気の毒であるが、それでも母は生活の満足をこの一点にのみ集注しているのだから、僕さえ充分の孝行ができれば、これに越した彼女の喜はないのである。