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Japanische Klassiker mit Furigana

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ひがんすぎまで

彼岸過迄

夏目 漱石

Lesen Sie 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.333 Zeichen · 385 Bildschirme

Aozora Bunko

しかし彼女の家名を揚げるというのは、名誉の意味か、財産の意味か、権力の意味か、または徳望の意味か、そこへ行くと全く何の分別もない。ただ漠然と、一つが頭の上に落ちて来れば、すべてその他が後を追って門前に輻湊するぐらいに思っている。しかし僕はそういう問題について、何事も母に説明してやる勇気がない。説明して聞かせるには、まず僕の見識でもっともと認めた家名の揚げ方をした上でないと、僕にその資格ができないからである。僕はいかなる意味においても家名を揚げ得る男ではない。ただ汚さないだけの見識を頭に入れておくばかりである。そうしてその見識は母に見せて喜こんで貰えるどころか、彼女とはまるでかけ離れた縁のないものなのだから、母も心細いだろう。僕も淋しい。

僕が母にかける心配の数あるうちで、第一に挙げなければならないのは、今話した通りの僕の欠点である。しかしこの欠点を矯めずに母と不足なく暮らして行かれるほど、母は僕を愛していてくれるのだから、ただすまないと思う心を失なわずに、このままで押せば押せない事もないが、このわがままよりももっと鋭どい失望を母に与えそうなので、僕が私かに胸を痛めているのは結婚問題である。