Japanische Klassiker mit Furigana
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ひがんすぎまで
彼岸過迄
Lesen Sie 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.333 Zeichen · 385 Bildschirme
と母はおとなしい答をした。
こんなくだくだしい会話を、僕がなぜ覚えているかと云うと、僕はその時母の顔に表われた、さも満足らしい気持をよく注意して見ていたからであるが、もう一つは僕が母と同じように一塩の小鰺を好いていたからでもある。
ついでだからここで云う。僕は自分の嗜好や性質の上において、母に大変よく似たところと、全く違ったところと両方有っている。これはまだ誰にも話さない秘密だが、実は単に自分の心得として、過去幾年かの間、僕は母と自分とどこがどう違って、どこがどう似ているかの詳しい研究を人知れず重ねたのである。なぜそんな真似をしたかと母に聞かれては云い兼ねる。たとい僕が自分に聞き糺して見ても判切云えなかったのだから、理由は話せない。しかし結果からいうとこうである。――欠点でも母と共に具えているなら僕は大変嬉しかった。長所でも母になくって僕だけ有っているとはなはだ不愉快になった。そのうちで僕の最も気になるのは、僕の顔が父にだけ似て、母とはまるで縁のない眼鼻立にでき上っている事であった。僕は今でも鏡を見るたびに、器量が落ちても構わないから、もっと母の人相を多量に受け継いでおいたら、母の子らしくってさぞ心持が好いだろうと思う。