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Japanische Klassiker mit Furigana

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ひがんすぎまで

彼岸過迄

夏目 漱石

Lesen Sie 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.333 Zeichen · 385 Bildschirme

Aozora Bunko

僕は自分の矛盾をよく研究した。そうして千代子に対する己惚をあくまで積極的に利用し切らせないために、他の思想やら感情やらが、入れ代り立ち替り雑然として吾心を奪いにくる煩らわしさに悩んだのである。

彼女は時によると、天下に只一人の僕を愛しているように見えた。僕はそれでも進む訳に行かないのである。しかし未来に眼を塞いで、思い切った態度に出ようかと思案しているうちに、彼女はたちまち僕の手から逃れて、全くの他人と違わない顔になってしまうのが常であった。僕が鎌倉で暮した二日の間に、こういう潮の満干はすでに二三度あった。或時は自分の意志でこの変化を支配しつつ、わざと近寄ったり、わざと遠退いたりするのでなかろうかという微かな疑惑をさえ、僕の胸に煙らせた。そればかりではない。僕は彼女の言行を、一の意味に解釈し終ったすぐ後から、まるで反対の意味に同じものをまた解釈して、その実どっちが正しいのか分らないいたずらな忌々しさを感じた例も少なくはなかった。

僕はこの二日間に娶るつもりのない女に釣られそうになった。そうして高木という男がいやしくも眼の前に出没する限りは、厭でもしまいまで釣られて行きそうな心持がした。