Japanische Klassiker mit Furigana
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ひがんすぎまで
彼岸過迄
Lesen Sie 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.333 Zeichen · 385 Bildschirme
実を云うと、彼は森本の予言通り、衣食の計のために、好奇家の権利を放棄したのである。
すると或晩主人がちょっと御邪魔をしても好いかと断わりながら障子を開けて這入って来た。彼は腰から古めかしい煙草入を取り出して、その筒を抜く時ぽんという音をさせた。それから銀の煙管に刻草を詰めて、濃い煙を巧者に鼻の穴から迸しらせた。こうゆっくり構える彼の本意を、敬太郎は判然向うからそうと切り出されるまで覚らずに、どうも変だとばかり考えていた。
「実は少し御願があって上ったんですが」と云った主人はやや小声になって、「森本さんのいらっしゃる所をどうか教えて頂く訳に参りますまいか、けっしてあなたに御迷惑のかかるような事は致しませんから」と藪から棒につけ加えた。
敬太郎はこの意外の質問を受けて、しばらくは何という挨拶も口へ出なかったが、ようやく、「いったいどう云う訳なんです」と主人の顔を覗き込んだ。そうして彼の意味を読もうとしたが、主人は煙管が詰ったと見えて、敬太郎の火箸で雁首を掘っていた。それが済んでから羅宇の疎通をぷっぷっ試した上、そろそろと説明に取りかかった。
主人の云うところによると、森本は下宿代が此家に六カ月ばかり滞っているのだそうである。