Japanische Klassiker mit Furigana
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ひがんすぎまで
彼岸過迄
Lesen Sie 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.333 Zeichen · 385 Bildschirme
そんな事に気を遣う叔父さんこそ平生にも似合わしからんじゃありませんかと云って、ほとんど相手にならなかった。話しているうちに、僕は彼の思い立が及落の成績に関係のない別方面の動機から萌しているという事を発見した。
「実はあの事件以来妙に頭を使うので、近頃では落ちついて書斎に坐っている事が困難になりましてね。どうしても旅行が必要なんですから、まあ試験を中途で已めなかったのが感心だぐらいに賞めて許して下さい」
「そりゃ御前の金で御前の行きたい所へ行くのだから少しも差支はないさ。考えて見れば少しは飛び歩いて気を換えるのも好かろう。行って来るがいい」
「ええ」と云って市蔵はやや満足らしい顔をしたが、「実は大きな声で話すのも気の毒でもったいないんですが、叔父さんにあの話を聞いてから以後は、母の顔を見るたんびに、変な心持になってたまらないんです」とつけ足した。
「不愉快になるのか」と僕はむしろ厳かに聞いた。
「いいえ、ただ気の毒なんです。始めは淋しくって仕方がなかったのが、だんだんだんだん気の毒に変化して来たのです。実はここだけの話ですけれども、近頃では母の顔を朝夕見るのが苦痛なんです。