Japanische Klassiker mit Furigana
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ひがんすぎまで
彼岸過迄
Lesen Sie 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.333 Zeichen · 385 Bildschirme
(午前十時)」
「今度は下の座敷に芸者を二人連れて泊っていた客が端艇を漕ぎに出て来ました。この端艇はどこから持って来たか分りませんが、極めて小さいかつすこぶる危しいものです。客は漕いでやるからと云って、芸者を乗せようとしますが、芸者の方では怖いからと断ってなかなか乗りません。しかしとうとう客の意の通りになりました。その時年の若い方が、わざわざ喫驚して見せる科が、よほど馬鹿らしゅうございました。端艇がそこいらを漕ぎ廻って帰って来ると、年上の芸者が、宿屋のすぐ裏に繋いである和船に向って、船頭はん、その船空いていまっかと、大きな声で聞きました。今度は和船の中に、御馳走を入れて、また海の上に出る相談らしいのです。見ていると、芸者が宿の下女を使って、麦酒だの水菓子だの三味線だのを船の中へ運び込ましておいて、しまいに自分達も乗りました。ところが肝心の御客はよほど威勢のいい男で、遥か向うの方にまだ端艇を漕ぎ廻していました。誰も乗せ手がなかったと見えて、今度は黒裸の浦の子僧を一人生捕っていました。芸者はあきれた顔をして、しばらくその方を眺めていましたが、やがて根かぎりの大きな声で、阿呆と呼びました。