Japanische Klassiker mit Furigana
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ひがんすぎまで
彼岸過迄
Lesen Sie 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.333 Zeichen · 385 Bildschirme
生れてからたった一つ行けるところまで行ったのは、大学を卒業したくらいなものである。それすら精を出さずにとぐろばかり巻きたがっているのを、向で引き摺り出してくれたのだから、中途で動けなくなった間怠さのない代りには、やっとの思いで井戸を掘り抜いた時の晴々した心持も知らなかった。
彼はぼんやりして四五日過ぎた。ふと学生時代に学校へ招待したある宗教家の談話を思い出した。その宗教家は家庭にも社会にも何の不満もない身分だのに、自から進んで坊主になった人で、その当時の事情を述べる時に、どうしても不思議でたまらないからこの道に入って見たと云った。この人はどんな朗らかに透き徹るような空の下に立っても、四方から閉じ込められているような気がして苦しかったのだそうである。樹を見ても家を見ても往来を歩く人間を見ても鮮かに見えながら、自分だけ硝子張の箱の中に入れられて、外の物と直に続いていない心持が絶えずして、しまいには窒息するほど苦しくなって来るんだという。敬太郎はこの話を聞いて、それは一種の神経病に罹っていたのではなかろうかと疑ったなり、今日まで気にもかけずにいた。しかしこの四五日ぼんやり屈託しているうちによくよく考えて見ると、彼自身が今までに、何一つ突き抜いて痛快だという感じを得た事のないのは、坊主にならない前のこの宗教家の