Japanische Klassiker mit Furigana
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ふたばていよだん
新編 思い出す人々
内田 魯庵
Lesen Sie 新編 思い出す人々 (ふたばていよだん) von 内田 魯庵 (うちだろあん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.401 Zeichen · 427 Bildschirme
どうしてもお伴の書生ぐらいにしか見えなかったであろう。
緑雨が一日私の下宿で暮す時は下宿の不味いお膳を平気で喰べていた。シカモ鰍の味噌煮というような下宿屋料理を小言云い云い奇麗に平らげた。が、率ざ何処かへ何か食べに行こうとなるとなかなか厳ましい事をいった。三日に揚げずに来るのに毎次でも下宿の不味いものでもあるまいと、何処かへ食べに行かないかと誘うと、鳥は浜町の筑紫でなけりゃア喰えんの、天麩羅は横山町の丸新でなけりゃア駄目だのと、ツイ近所で間に合わすという事が出来なかった。家の惣菜なら不味くても好いが、余所へ喰べに行くのは贅沢だから選択みをするのが当然であるというのが緑雨の食物哲学であった。その頃は電車のなかった時代だから、緑雨はお抱えの俥が毎次でも待ってるから宜いとしても、こっちはわざわざ高い宿俥で遠方まで出掛けるのは無駄だと思って、近所の安西洋料理にでも伴れて行こうもんなら何となく通人の権威を傷つけられたというような顔をした。「通人てものは旨い物ばかり知っていて不味い物が解らんようでは駄目だ」と、或時近所の、今なら七銭均一とか十銭均一とかいいそうな安西洋料理へ案内した時にいうと、「だから君の下宿のお膳を一生懸命研究しているじゃアないか、」