Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんぺんちゅうしんぐら

新編忠臣蔵

吉川 英治

Lesen Sie 新編忠臣蔵 (しんぺんちゅうしんぐら) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 337.181 Zeichen · 676 Bildschirme

Aozora Bunko

『誰か、死んだのか』

『なぜ』

『線香のにおいがするじゃないか』

『ム。飛脚が来て、今朝知ったのだ。おれのお母が死んだ……』

『お! いつか立ち寄った時、蕎麦を打って食わせてくれたあの老母か』

『そうだ』

『それは、落胆したろう』

『いや、勿体ないが、何だかおれはその飛脚を受け取って、今朝から気が楽になっていたところだ。……やがて此っ方の報らせが田舎へ届くのも、そう遠くない日だからな。先に逝ってくれたのは、不幸のようだが、おれとしては思い残りがない』

『そこ迄、貴公は覚悟しているのか』

『当り前だろう。もう何うしたって、襲って来るしかないものと、避けられないものとの衝突だ。受け身だけに、此っ方の栄ない事は夥しい。悪い役割というやつだが、その割の悪い側にいても、人は知らず、おれだけは、侍一人前のことはやって死にたいと思っている』

『…………』

『木村。……貴公とか、おれとか、小林平八郎ぐらいな、極く少数のところが、ほんとの吉良家の御家来だと思わないか。人数だけをいくら殖やしても、何うして、あの赤穂の死にもの狂いに当れよう。後は、いくらこの邸内に集めても気やすめだ。……そう俺は見ているから、ふだんの御用などには手を出さん。