Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぺんちゅうしんぐら
新編忠臣蔵
吉川 英治
Lesen Sie 新編忠臣蔵 (しんぺんちゅうしんぐら) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 337.181 Zeichen · 676 Bildschirme
酒でも飲み、力を蓄えて、その日を待っているのが一番忠勤だと信じているからだ』
『よく云われた』
木村丈八は、病後の顔に、ぽっと赤味をのぼせて、
『おれも死ぬ』
と、唇を噛んだ。そして、長屋の外に、気を配りながら、力を入れて声をひそめた。
『――正直に云うと、千坂兵部様の御決心も、そこに坐っているらしく思える。貴公のいう通り、所詮、襲るなと祈っても、いくら警固や防ぎをしてみても、先は、空を翔けてくる疾風雲のようなものだ。一暴風雨は避けられまい』
『貴様も、そう見極めたか』
『赤穂、京都、山科、その他を、実地に隠密して歩いて感じたことは、成程、彼等のうちにも、脆弱な分子もあるが、今日まで内蔵助から離れずにいる連中は、皆、死を楽しんでいることだ。怖ろしい事じゃないか、これ以上の強敵はあるまい』
『わかる。……おれにはそれが分る気がする。俺たちが幼少からたたき込まれた教養はそうだし、昨日までの社会はそれを道義の美としていたのだから、そうなるのは当然だ。――徒らに敵を憎んで、やれ、扶持を離れた人間の自暴自棄だとか、虚名を博すための行為だとか、裏を掻いたような観方をする奴には、武士道の極美が、――死というものが――何んなに当人にとって本望で楽しいものかが分らぬからだ。