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Japanische Klassiker mit Furigana

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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

Lesen Sie 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 346.393 Zeichen · 692 Bildschirme

Aozora Bunko

「小崎の姉さまも一ト晩どうだね。」と、田舎の小父は大きな帽子のついた、帯のある鳶を着ながら、書類の入った折り鞄を箪笥の上にしまい込んで、出がけに母親に勧めた。

「私はヘイ。」と、母親は二十日たらずも結ばない髪を気にしながら言った。

「お安さあは寄席どころではないぞえ。」と、主婦は古い小紋の羽織などを着込んで、莨入れを帯の間へ押し込みながら、出て行った。

母親は東京へ来てから、まだろくろく寄席一つ覗いたことがなかった。田舎にいた時の方が、まだしも面白い目を見る機会があった。大勢の出て行ったあと、火鉢の傍で、母親は主婦が手きびしくやり込めるように言った一ト言を、いつまでも考えていた。気楽に寄席へでも行ける体にいつなれるかと思った。

「私は東京へ来て、商業に取り着くまでには、田町で大道に立って、庖丁を売ったこともあるぞえ。」と、主婦の苦労ばなしが、また想い出された。

自分には足手纏いの子供のあることや、長いあいだ亭主に虐げられて来たことが、つくづく考えられた。

「あの人も、えらい出ずきだね。」

やがて女中と二人で、主婦の蔭口が始まった。

皆の跫音が聞えた時、火鉢に倚りかかって、時々こくりこくりと居睡りをしていた母親は、あわてて目を擦って仕事を取りあげた。